高齢者の運転は危険?
高齢ドライバーによる高速道路の逆走とか、アクセルとブレーキを踏み間違えて、病院待合室やコンビニに突進する事故などが発生り、高齢ドライバーの危険性がクローズアップされています。
確かに高齢になると足腰の動きが重くなり、俊敏な動きは難しくなる。急に飛び出してくる子供や自転車などへ、瞬時に注意を払う動体視力は衰える。しかし 高齢者の車の運転は危険なのか、と言えば必ずしもそうではないことが、国立長寿医療研究センターから発表されています。
国立長寿医療研究センターの調査で明らかになったことは2点ある。
現在「高齢者」の定義として、「65~74歳を老年前期」とし、「75~89歳を老年後期=後期高齢者」とし、「90歳以上を超高齢者」としているが、この区分は1000年以上前の養老律令(782年)において、66歳以上を『老』と定めていた時からのものである。しかし今日の高齢者を「歩行速度」や「生活機能維持」の得点、さらに「慢性疾患の受療率」で比べてみると、高齢者の健康状態や生物学的年齢は10歳近く若返っているというのがデータから明らかになったのです。
そのうえで、新たな定義として「高齢者」を「75歳から89歳」とし、65歳から74歳を「准高齢者」とすることを提唱しています。
冒頭の「高齢ドライバーは危険か」、については年齢別運転免許保有者10万当たり死亡事故件数でみると、最も事故率が高い16歳から24歳が7.6で、30歳台が3.3で一番低く、75歳までは平均で4.0なのである。
「高齢ドライバー」による事故を防ぎ、また同時に今後増える65歳以上の活力あふれる「准高齢者」に積極的に社会参加してもらい、人口減がすすむ地方で車が欠かせない移動手段であることからも、65歳以上74歳までの高齢者には、安全運転への注意を促しながらも、免許に制約を設けることなく、一方75歳以上の高齢ドライバー対策としては 認知症検査の受診や免許返上への促しなど、積極的な介入も考えながらの対応がかんがえられるのではないかと思います。 65歳から74歳までの前期高齢ドライバーから「移動の自由」や「運転の喜び」を奪うことなく、「高齢ドライバー」にきめ細かな対策が取られることで 高齢社会のモビリティー確保につなげたいと思うのです。