カズオイシグロさんのノーベル文学賞受賞講演
今年のノーベル賞の授賞式の様子をテレビで見ました。東京も連日本格的な大寒波に見舞われていますが、ストックホルムの街行く人は厚手のコート姿が、様になっていますね。
ノーベル文学賞を受賞したカズオイシグロさんの講演を聞いていて、不思議な感じがしました。5歳まで日本で育った純粋の日本人が母から聞いた「へいわ」という日本語を遠い記憶のように話す、そのことで、彼が「英語という言語」を選択しその言葉で思考し続けてきたことが如実に分かりました。 「思考する手段としての国語」の大切さを しみじみと感じました。 その意味で日本が独立国として国の姿を大切にする以上は 国語としての日本語こそ大切にすべきで、小学校に入学して初めて「こくご」を授業として教え始めるときに、その基礎固めも出来ないうちに英語を授業に入れ込むのは 問題が多いのではないかと思うのです。
5歳のカズオイシグロさんにとってさえ、日本が遠い記憶になってしまう事実を目にし、日本人としてのアイデンティティー・美意識は日本語にあり、この国のことばをないがしろにすることは大いなる損失だと思うのです。
お年寄りと若い世代の世代間の溝をさらに広げるようなことになってはならないと思います。